2012年6月8日金曜日

究極の筋量 vol.11 ビジュアライゼーション

20年以上前のマッスルアンドフィットネス誌にこんな記事が掲載された。

「想像力を生かしたボディビル」

ひとりでトレーニングを行う場合でも想像力を利用してあたかもトレーニングパートナーがいるかのようなトレーニングを行うこともできるし、ひとりでフォースト・レップも種目によっては可能である。

かのアーノルド・シュワルツェネッガーも自分の上腕二頭筋が盛り上がり、皮膚を突き破って山のようにそびえ立つようなイメージを描いてカールを行ったというし、トム・プラッツはスクワットのときにプレートどうしがぶつかってガチャガチャという音がエンジン音であるかのようなイメージをしたという。

想像力を生かしたボディビルとは自分がなりたいヒーローをまずイメージする。
(私の場合はドリアン・イエーツだ。)

そしてドリアンのトレーニング哲学、トレーニングスタイル、栄養摂取、カーディオ、プライベートに至るまで情報誌から読み取り記憶する。

そしてトレーニングのときに目を閉じ・・・。目の前にドリアン・イエーツが立っている姿を想像する。

そう、あなたのトレーニング・パートナーは偉大なるドリアン・イエーツなのだ。

今日は胸の日だ。インクラインベンチに横たわりウォームアップ。ウェイトを上げ下げするスピードはビデオ「ブラッド&ガッツ」で見たテンポの通りだ。

あなたのウォームアップが終わると今度はドリアンの番だ。巨大な大胸筋がみるみるパンプアップしていく。ここではあなたがリロイ・デービスなのだ。

プレートを積み重ねウェイトを上げ下げする。あなたのトレーニング・パートナー「ザ・シャドウ」は静かにあなたのレップを見守る。

そして本番セットだ。究極のパワーを発揮するあなたのインクライン・ベンチプレス。ドリアンが最後の数センチだけ指を添えようとするが、あなたの力強いベンチプレスはギリギリ助けを必要とすることなく、ラックアップすることができた。

今度はドリアンの番だ。あなたが見つめる中、淡々とレップを重ねていく。

休息時間はトレーニング・パートナーが種目を行っている間だけだ。

想像力を生かしたボディビルではこのようにして雑誌やインターネットから得たボディビルヒーローをあなたのトレーニング・パートナーまたはトレーニング・コーチとしてイメージングし、一緒にトレーニングを行うのだ。もちろん、すべてのトレーニングで一人のヒーローをイメージしても良いし、部位毎に、例えば広背筋はリー・ヘイニー、脚はトム・プラッツ、上腕二頭筋ならロビー・ロビンソンという具合にイメージしても良い。

もう、こうなってくるとトレーニングが楽しくて楽しくて仕方がないハズだ。なぜなら、トレーニングを行うたびにあなたには伝説のヒーローがトレーニング・パートナーとなってくれるのだから。

バーベルが折れそうなほどの究極のトレーニングを終えたあともあなたのトレーニング・パートナーはポージングのチェックを一緒に行ってくれる。

ポージングを行うのはそう、あのゴールドジムのポージングルームだ。(雑誌によく載っているやつだ!)

サイド・チェスト。「だいぶん、形になってきたね。でも肋間筋のディティールが良くない。もっとプルオーバーをやってみよう」

バック・ダブル・バイセップス。「大円筋をもっと張り出すように。肩甲骨をコントロールするんだ。」

アブドミナル&サイ「脚に力を入れて。そう。腹筋がダメだ。アブ・ローラーをもっとやりこもう。大胸筋の下部の輪郭がはっはりするようにもっとディップスを行わないと」

こんなやりとりを想像の中で行うのだ。

ちょっと気違いじみているかもしれないが、このやり方はあなたのボディビルトレーニングに奇跡をもたらす。

これが現在ではビジュアライゼーションという名前で世に広まっているトレーニングなのだ。
いつの日か、誰かのイメージング・ヒーローはあなたになっているかも知れない・・・。