2016年9月1日木曜日

究極の筋量 vol.53 真のチャンピオン

リオ・オリンピックが終わり、興奮も冷めやらぬ中、次はパラリンピックが始まる。

オリンピックを見ていて日本人選手のある一人が銅メダルを獲得したにもかかわらず、表彰式後、メダルを首から外す場面が目に付いた。
悔しくて当然。金メダルを取りたかった連覇のかかった大会。

自分の不甲斐なさや周囲の期待、メディアのバッシング。しかし、メダリストとして私はメダルを首から外すという行為がどうしても日本人として受け入れがたいものがあるのだ。

もちろん、これは私個人の意見ではあるのだが、そもそもオリンピック精神とは?
ということなのである。

勝負事である以上、勝ち負けの判定がついて然るべきで、それを受け入れない、というのは競技者の精神的未熟さの表れではないか、と思うのである。

そういう意味でレスリングの吉田沙保里選手は泣きじゃくった顔で銀メダルを首にさげ、表彰台に立った。
まさにチャンピオンである。

メダルまで到達できなかった選手、難民代表達、全員の人生を掛けた戦いの結果である。
これが勝負というもの。
それを受け入れられないとは自分本位以外のなにものでもない。

ロニー・コールマンが負けた時も彼は新チャンピオン、ジェイカトラーを祝福し、ジェイカトラーもまた新チャンピオンを祝福した。
フレックス・ウィラーは自分が負けたとき、それを受け入れられずステージに背を向け、メダルをすぐに首から外した。

どうだろう。本当の勝者は敗北から自分の弱さを認めて前へと進んでいく。自分がもし信じられないほどの強度で追い込んだ練習をしてきたならば、さらにその上を行ったライバルに敬意を表すのが当然であろう。


これこそが真のチャンピオンである。