2016年2月25日木曜日

究極の筋量 vol.48 バキュームポーズを規定ポーズにとフランク・ゼーンが言及

現代のボディビルダーはバキュームポーズなるものを知っているのだろうか?
ダイエット本などではドローインなどという言葉で解説されているが、要は腹筋を肋骨の中に引き込み、ウエストの細さを強調し、広背筋の広さを際立たせる素晴らしいポージングだ。

ポージングの名手フランク・ゼーンは現代ボディビルダーの醜く突き出た”はら”(よもや腹筋と呼べる代物ではない)を指して、バキュームポーズを規定ポーズにすれば良いとの提案を行った。

大賛成である。そもそもバキュームポーズは簡単に取れるポーズではないのだ。肋骨のなかに腹筋を引き込むための練習を来る日も来る日も重ねることで体得できるものなのである。

当然胃袋の中には何もない状態、つまり空腹時でないとこのポーズの練習はできない。シットアップボードを高くセッティングしほぼ逆立ち状態で腹筋を引き込むことから始めると具合が良い。
グラヴィティブーツを使って鉄棒にぶら下がるのも効果的だ。

このポーズで思い浮かぶのはやはり、ミスターオリンピア、フランクゼーンだろう。
トニー・ピアソンも凄かった。ショーン・レイはまあまあだった。アマチュアボディビルダーではポール・ディメイヨとともに活躍していたエドガー・フレッチャーのバキュームポーズも素晴らしかった。

いずれにしても1990年頃まではバキュームポーズを売りにするボディビルダーは結構いたものだ。

ところが、90年以降はバキュームポーズはめっきり影をひそめ、腹筋の厚み、カットを重視する傾向に世の中が変わっていったのだ。もちろん、審査基準、流行というものもあるだろうがクラシカルなギリシア彫刻のような肉体を理想とする人々からすればバキュームポーズの取れないボディビルダーはただのフリークス(化け物)と見られても仕方がないだろう。

しかし、バキュームポーズを規定ポーズとするならば、選手も必要にせまられポーズを練習し、結果彼らの肉体は究極のウエストと最大限に広がった広背筋、肩からなるVシェイプを披露する。

想像して見て欲しい。ロニー・コールマンがデビュー当時のウエストサイズのまま、あの最大級の肉体を披露する姿を。
カイ・グリーンがバキュームポーズを取れたなら、簡単にフィル・ヒースを打ち負かしていただろうことを。

昨今のフィジーク人気にはボディビルダーの突き出た”はら”に起因するものかも知れない。
ボディビルダーとは究極の人間の姿であるはずだ。