2012年3月30日金曜日

究極の筋量 vol.5 巨大なリブ・ケージを備えたギリシア神話の神々ような筋肉を得るためには?

究極のサイドショットを取るために必要不可欠な要素とはなんだろうか?

答えは究極のリブケージ、胸郭である。

現在のボディビルディングにおいて胸郭の重要性はそれほどはない。
しかしながら、昔のボディビルディングを知るものならば現在のボディビルダーのフィジークに違和感を覚えているだろう。

なぜなら胸郭があまりにも小さすぎるからだ。
圧倒的筋肉量で世を席巻したロニー・コールマン。しかし、アーノルドのサイドチェストと並ぶと、見る影ももなくなってしまうのはどうしたことだろう?筋量に関しては現在のボディビルダーの方が圧倒的に有利だとしても、だ。

そう、リブケージ。胸郭の深みなくして、究極のサイドショットは完成しない。
完全に広げられた胸郭に最大限に発達した大胸筋を乗せてこそ、最高のサイドチェストポーズが成立するのだ。胸郭が広がることでウエストと胸囲の差が大きくなり、よりV字型の体型が強調されるのだ。
そしてこれにバキュームポーズを合わせることで、完全なるサイド・チェストが完成するのだ。

ギリシア神話に登場する、神々を見てほしい。完全なる肉体にはリブ・ケージの深みが絶対条件なのだ。筋量と骨格。そしてバランス。全体の筋肉の調和。

胸郭を広げるための唯一の種目、それがプルオーバーだ。
ブルオーバーを行うことで前鋸筋も最大限に鍛えられ、身体を正面から見たときの大胸筋周辺のディテールも立体感を増す。そして、広背筋、上腕三頭筋も同時に鍛えられる。もちろん、大胸筋も前腕も。

ダンベルで行うか?バーベルで行うか?どちらでも良いと思う。クロスベンチにして一つのダンベルを使用し、腰を落として行うのが胸郭を広げる上では一般的かも知れない。

ベンチを縦に(つまり通常通り)使用し、ダンベル2つをそれぞれの手に持って行う方法も良いだろう。つまりどんな方法でも良い。フリーウェイトでプルオーバーを行う、ということだ。

かのミスターユニバース、杉田茂氏は両手にそれぞれダンベルを持つプルオーバーで片方60kg以上のものを使用していたというから驚きだ。つまりは両手であれば120kg以上の重量でプルオーバーができる、ということだろう。これは現在のプロビルダーでも真似のできない重量だろう。

しかし、大切なのは重量ではない。どれだけその種目の効果を信じ、のめり込めるか?
プルオーバーで鍛えられる部位は?上半身すべてだ。上半身すべての筋肉の筋肥大、究極のリブケージ。プルオーバーなくしては得られない。

2012年3月11日日曜日

究極の筋量 vol.4 劇的に体重を増加させるブリージング・スクワット

体内の成長ホルモンを過激に分泌させる方法をご存じだろうか?
これから公開する方法は20年前に公開されていた方法なのだが、今読み返しても気持ちが悪くなる。

成長ホルモンを注射するわけでもないし、経口剤で飲む訳でもない。

やることはただ一つ。

朝起きたら、スクワットをすることだけだ。

馬鹿らしい、だって?まぁ、聴いてほしい。ここで紹介する方法はブリージングスクワットと呼ばれるものだ。
「あぁ、知ってるよ。深く呼吸しながらハイレップスのスクワットをするんだろ。俺には効果がなかったぜ。」という声がするが、そんなものには耳を貸さない。

効果の程はお墨付きだ。何十年も前から偉大なるボディービルダー達はこの方法で短期間で究極の筋量を得ることに成功している。

スクワットを始める前にまずは前日までに準備しておくことがある。
スクワットラックにバーベルをセットしておくこと。
重量はあらかじめ計画しておくこと。

この2つだ。

特に重量の選択は十分検討して欲しい。ここでは連続で10repsが限界となる重量を用いて休憩を挟みながら20repsを行ってもらう。

この「連続で10repsが限界」という重量をまずははじき出す。たとえばこれを140kgとしよう・・・。

朝。目が覚めると時計を見た。AM5:30だ。ベッドから起き上がるとコーヒーを入れる。
コーヒーを飲みながらトレーニングウェアに着替え、あなたは外にでる。
雨だ。雨は屋根に降りかかり、スクワットラックは湿気を帯びている。

ウォームアップ用の重量は昨晩セットしておいた。バーベルを担ぐと軽く20reps。
バーをラックに戻し、少し重量を増やす。再びウォームアップセットだ。今度はゆっくりと10reps。

OK。バーベルを140kgにセットする。ここからが本番セットだ。

トム・プラッツをイメージしろ。彼ならば1時間連続のスクワットをこなすだろう。

バーを担ぐと連続で10repsを行う。10reps目はキツイ。
通常のトレーニングであれば、ここでバーをラックに戻すだろう。ただ今朝は違う。
バーを担いだまま深呼吸をする。吐く息は白い。
なんとかもう1repはできそうだ。

11reps。ヤバイ。もう一度呼吸を整える。20秒ぐらい休んでいるだろうか。もう1repはできるか。

12reps。この調子でだましだましでもなんとか15reps目まではできるだろう。太腿が震える。
こんどはカウントダウンだ。あと5reps。
もう一度深呼吸をして身体を沈めていく。太腿が悲鳴をあげる。バーを握りしめる両手にも力が入りバーを担ぐ僧帽筋にも血管が走る。

16reps。あと4reps。
カーフまでもがカンカンにパンプしこれ以上行えば痙攣寸前だ。ハムストリングスは風船のように膨らんでいる。大腿部だけではもはや身体を支えることはできず、大臀筋はアゲハチョウのようにその翼を広げる。呼吸だ。肋骨はもう広がる肺を押さえつけることができない。

17reps。あと3reps。固有背筋が悲鳴を上げる。姿勢を保っているのがつらい。

なんでこんな苦しいことを朝っぱらからやっているんだろう。ああ、温かい布団のなかでもうすこし眠っていれば良かった・・・。クソッ!

18reps。あと2reps。ここまできたぞ。やればできる。やればできる。やればできる。
体中の毛細血管に大量の血液が送り込まれる。心臓は激しくまるでハーレーダビッドソンのように鼓動する。

19reps。もう感覚がない。あるのはあと1repという目標だけだ。ウォームアップセットを行ったのはいつだっただろう。10reps目はいつのことだっただろう・・・。深く呼吸をする。そして身体を沈めていく。

20reps。

やった。バーベルをラックに掛けるとその場に仰向けに倒れこんだ。
心臓は脈打ち、血管は膨らみ、頭痛がする。全身がパンプアップしている。なんだこの感覚は。

よろよろと、こんどはフラットベンチに横になり、あらかじめセットしてあったダンベルでプルオーバーを開始する。ここでも連続10repsが限界の重量で20repsだ。

スクワットと同じ苦痛が今度は上半身を襲う。プルオーバーがこれほどまでに上半身を痙攣にまで追い込む種目であることを思い知るだろう。ダンベルを降ろした時にはミリミリと肋骨から筋肉が引き剥がされるような感覚。

20reps。上げきったダンベルを保持する力はもうない。ダンベルを地面に落とすと、起き上がれるようになるまでの時間が永遠のように感じられた・・・。

朝起きてすぐのブリージングスクワットを行うことにより、身体は非常事態にさらされる。
なんとかしてこの非常事態から自分自身を守るため、体内では様々なコマンドが発せられ、
筋肉も骨も腱も血も全ての細胞が身体を守るために活性化する。

1年で10kgの筋量アップも可能だ。ただし、あなたが、これを1年間続けられたらの話だが・・・。

ブリージングスクワットは究極のトレーニングだ。究極のトレーニングなくして究極の筋量はあり得ない。さあ、今すぐスクワットを開始するのだ。真夜中でも。雨でも。明日に何があろうとも。

2012年3月10日土曜日

究極の筋量 vol.3 トレーニングギアに頼らない素の力。本当の筋力とは

究極の筋量を得るためには信じられないほどの重量を繰り返し、繰り返しリフトする必要がある。
先月のマッスルアンドフィットネスでロニー・コールマンが語っていたように、
「ミスター・オリンピアになりたいという人はたくさんいる。しかし、これほどの重量を持ち上げたいという人はいない」

これを支えるのは強靭な握力である。どのような重量を持ち上げる、引くにしてもまずはその重量そのものをその手に保持できなければお話にならない。
じゃあ、リストストラップやフックを使えば?とい声が聞こえてきそうだ。
しかし、私の意見ではこれは使用しないほうが良いと思う。
自分の力で保持できないものは持たない方が良いのだ。もし持てない重量に出くわしたら時間をかけて握力を鍛える。
そのうちに持てるようになる。安易にストラップなどの補助器具に頼るようなことがあってはならない。これは怪我を防ぐという意味でも重要なことだ。

そのためにオルタネイト・グリップをマスターし、フックグリップを習得し、キャプテンズ・オブ・クラッシュ・グリッパーをやり込み、イバンコのスーパーグリッパーで鍛錬する。
高重量のバーベルによるホールド・エクササイズもいいだろう。
極太のマヌス・グリップを使用してホールド力を強化するのも良い。

もし、200kgのバーベルでデッドリフトするとき、ストラップなしでこれができるのなら、明らかにその人の前腕は常人に比べて発達しているはずだ。これがストラップの力によるものならば、胸を張ってデッドリフトで200kgを上げられます、とは言えないはずだ。人には言えても自分自身ではストラップなしではデッドリフトができないないことを知っている。
あなたの魂はあなたよりも正直なのだ。

補助器具に頼ることなかれ。リフティングベルトをつけるぐらいなら腹筋を鍛え、背筋を鍛え抜き、腹圧を高める術をマスターすることだ。そうすることで腹筋はは割れ、固有背筋群は盛り上がる。

現に私はストラップなし、ノーベルトで200kgのデッドリフトができる。
町のジムにはビジターで数か月に一回、フラッと立ち寄るが、ジーンズ姿でデッドリフトを披露すると、きらびやかなトレーニングウェア、ストラップ、ベルトで身を固めたジム会員たちは唖然とする。
おかしなものだ。彼らが欲しいのはこんな力ではないのだろうか?
奴らの最高重量は私にはウォームアップだ。

究極の筋量を得るためのトレーニングはファッションではない。ジムは社交場でもない。
チャラチャラした補助器具に頼るものでもない。自分自身の素の力をもって極限の重量に挑むのだ。その肉体が精神を凌駕するまで。

2012年3月9日金曜日

究極の筋量 vol.2 理解を超えたトレーニング。根性がためされる80年代のトレーニングとは?

究極の筋量を得るためには究極の鍛錬をその身に課さなければならない。
人間の理解を超える筋量をその身に纏うには人間の理解を超えるトレーニングを行わなければならない。わかるだろう?

限界を超える努力をしなければ限界などわかるはずもない。むしろ限界など考えずにトレーニングをするべきだ。脳のリミッターを解除するのだ。

トム・プラッツの規格外の大腿部はどうして作り上げられたのかって?
議論する必要もないだろう。
規格外のトレーニングを行ったから完成した珠玉の大腿部である。
1時間も連続でバーベルスクワットを行うボディビルダーが現在いるだろうか?

いない。

180kgのバーベルでフルスクワット50reps。キチガイだと思う前に出来る人間がいるのか?

だからトム・プラッツの脚を超える人間がいないのもうなずけるだろう。

サンプレイの宮畑会長と石井直方氏が45kgのダンベルショルダープレスを100回連続で交代しながらセットを繰り返していたのは有名な話だ。こんな気違いじみたトレーニングを行うものは他にはいない。

ミスター日本になるためにはどうすれば良いのか?
現ミスター日本の2倍苦しい練習すれば良い。

簡単なことだろう?

1980年代は狂気のトレーニングがもてはやされたボディビルトレーニングの黄金時代だ。
気の遠くなるような長時間のトレーニング、筋肉が張り裂けんばかりの高強度トレーニングなどなど。ウィダーのトレーニング法則もこの時代で確立されていったのだ。

そのなかでも極めつけはかつ最も単純だが最も難しい漸進性負荷の理論。つまりオーバーロードの原則であろう。

常に昨日の自分を超える努力をする。
これはトレーニングだけにおけるものではない。ボディビルの基本原則と言っても過言ではないだろう。

トレーニングにおいては常に前回の自分を超える努力をする。時間、重量、筋収縮の強度などなど。前回を超える要素はいくらでもある。

しかし、前回のトレーニングを超えること。これが難しい。
前回できたことができない。こういうこともあるだろう。

これをドリアン・イエーツは"言い訳"と言っていた。
完全な超回復のリズムを把握していればこんなことは起こらない。

インスティンクティブ・トレーニングもすべて前進するためのものでなくてはならない。
調子が悪いから身体の声を聴いて休もう(インスティンクティブ・トレーニング)
こんなのはただの怠慢だ。

食事についてもしかり。内臓も筋肉でできている以上、オーバーロードの原則に従い、食べる量、質ともに増大させていく必要がある。

当たり前の食事では当たり前の身体しかできないのだ。

手当たり次第に食料を詰め込めば良いというものではない。やはり3大原則であるタンパク質、炭水化物、脂肪をバランス良く、これを適切なタイミングで大量に体内に取り込み、吸収させなければならない。朝食抜きなんていうのはボディビルダーとしては最低だ。野菜は肉の3倍量を食べなければならない。いや、もっと食べても良いだろう。ビタミン、ミネラルは身体にとって重要な要素だ。

食事に関しては自然な食品からすべてを取ることを心がけたいものだ。量的に苦しいからとサプリメントに頼るようなことはあってはならない。

言っただろう。

規格外の身体が欲しいのであれば規格内のことをしていてはダメだ。

身体の声を聴くとは身体が欲しているものを的確に見極めるということ。

調子が悪ければ調子が悪い原因があるはずだ。
トレーニング。休息。回復。食事。
原因を見極め、改善し、次のトレーニングにフィードバックしていく。
トレーニングとは日々の積み重ねである。

2012年3月1日木曜日

究極の筋量 vol.1  ペインゾーンに生きるビクター・リチャードのトレーニング

人はどれ程の苦痛に耐えることができるのであろう。
人はどれ程の苦痛を経てどれだけの筋肉をその身に纏うことができるのだろう。
人が驚愕するその筋肉を得るためにどれ程の苦痛に耐えてきたのだろう。
人はなぜ麻薬的な筋肉増強の世界に陶酔するのだろう。

痛みに耐えうる者だけが究極の筋量を得ることができる。

そう、それこそが究極のペインゾーンである。
ここでは時空さえも歪めてしまうほどの圧倒的筋量が支配する世界。
記憶ではこれについて記述された雑誌記事はマッスルアンドフィットネスのビクター・リチャードに関するものだけだ。
ビクター・リチャードのトレーニングについて語るとき。
それは自分の常識が全く通用しない世界であるということを認識しておいて欲しい。
上腕囲は60cmを遥かに超え、大腿部は90cmをも超える超人。
しかし数値だけで彼を判断してはならない。全身がバランス良く発達した筋肉の塊で覆われているからこそ、彼の肉体が発するインパクトが凄まじいのだ。

そして、そのトレーニングたるや・・・

午前中をまるまる使ってレッグプレスをする・・・。
想像してみてほしい。自分の脚が化け物のように膨れ上がり、力を入れることもままならず、モンスターパンプが全身を駆け巡る。何千レップ繰り返すことができるだろう。心臓はこのパンピングアイアンを支えるため無限に鼓動することを余儀なくされ、それでもペインゾーンに身を置く限りはこのモンスターパンプと戦い、そして勝たなければならないのだ。

レップに次ぐレップ。大腿部の筋肉は悲鳴をあげ、ウェイトを上げるために臀部もハムストリングスもカーフもすべての筋肉が総動員される。これはただのレッグプレスではない。ウエイトが勝つか、あなたが勝つか。

壮絶な死闘の末、最後のレップを完遂させる・・・。とどこからともなく声が聞こえてくる。「まだだ。」
あなたは再びウエイトを下ろし始める。これを何度も、何度も繰り返す。血の流れが大腿部を破裂させるのでは?と感じるほど皮膚は張り裂けんばかり。筋肉はカンカンにパンプアップしている。

最後には完全にパンプアップし切った大腿部はもう血の入り込む余地がないほどに膨れ上がり、血管は触れば破れそうなほど張りつめている。下半身すべての筋肉がこのような状態になって初めてあなたは満足する。

いや、満足する?

「まだだ」心の奥底から声が聞こえる。

そしてあなたは再びウエイトをおろし始める・・・

これを求め行く魂の叫び。果てなき渇望。
究極の筋量を得るためには究極のトレーニングをその身に課さなければならない。